インプラントにトラブルが起こる主な原因と予防の考え方
インプラントは、適切な治療とケアによって長く使い続けられることを目指す治療です。一方で、治療後に歯ぐきの腫れや、噛んだときの違和感などが起こることがあります。トラブルが起こる要因は一つではなく、お口の清掃状態、噛み合わせ、全身の状態など、さまざまなものが関わっています。この記事では、治療後に起こりうるトラブルの一般的な要因を俯瞰し、予防のポイントを整理します。年齢や性別を問わず、参考にしていただける内容です。
目次
- 治療後に起こりうるトラブルの種類
- トラブルにつながる主な要因
- トラブルを予防するための考え方
- 気になる症状があったときの対応
- よくある質問
治療後に起こりうるトラブルの種類
インプラント治療後に起こりうるトラブルには、次のようなものがあります。起こる時期や程度には、個人差があります。
インプラントの周囲の炎症
インプラントの周囲の歯ぐきや骨に、炎症が起こることがあります。歯ぐきが腫れたり、出血したりします。進行すると、周囲の骨が減っていく場合があります。
人工歯(上部構造)の不具合
人工歯の一部が欠けたり、ゆるんだり、外れたりすることがあります。人工歯とインプラントをつなぐネジがゆるむ場合もあります。
噛み合わせの違和感
噛んだときの違和感や、特定の歯に強い力がかかる感覚が出ることがあります。
インプラント自体の動揺
まれに、インプラントと骨の結びつきが得られなかったり、後から弱まったりして、インプラントが動くことがあります。
トラブルにつながる主な要因
トラブルの要因は、大きく4つに分けて考えられます。複数の要因が重なることもあります。
お口の清掃状態
インプラントの周囲に歯垢(プラーク)がたまると、細菌が増え、炎症が起こりやすくなります。インプラントは天然の歯と構造が異なり、周囲の組織が炎症に対して影響を受けやすい面があるため、日ごろの清掃が重要です。
噛み合わせや噛む力
歯ぎしりや食いしばりなどで強い力がかかり続けると、インプラントや人工歯、周囲の骨に負担がかかります。噛み合わせのバランスが崩れた場合も、特定の部位に力が集中しやすくなります。
全身の状態や生活習慣
次のような要因は、傷口の治りや、インプラント周囲の組織の状態に影響することがあります。
- 糖尿病など、血糖のコントロールが難しい持病
- 骨粗鬆症など、骨の状態に関わる病気や、その治療薬
- 喫煙
- 免疫に影響する薬の服用
お口の中の環境や骨の状態
治療を始める前の、顎の骨の量や質、歯ぐきの状態、歯周病の有無なども関わります。歯周病が残ったまま治療を進めると、インプラントの周囲にも炎症が及ぶことがあります。
トラブルを予防するための考え方
治療前の検査と計画
治療前に、CTなどで顎の骨の状態を確認し、全身の状態や服用中の薬、生活習慣を確認します。そのうえで、インプラントの位置や本数、必要な処置を計画します。持病や服用中の薬は、歯科医師に必ず伝えてください。
日々のセルフケア
毎日の歯みがきのほか、歯と歯のあいだの清掃も大切です。歯間ブラシやデンタルフロスなどを、お口の状態に合わせて使います。清掃用具や磨き方は、歯科医院で指導を受けることができます。
定期的なメンテナンス
インプラントを長く使うには、治療後の定期的な検診が欠かせません。メンテナンスでは、次のような内容を行うのが一般的です。
- インプラント周囲の歯ぐきや骨の状態の確認
- 噛み合わせや、人工歯のゆるみの確認
- 専用の器具での歯垢・歯石の除去
- 必要に応じて、レントゲン検査
通院の間隔は、お口の状態によって異なります。症状がなくても、定期的な検診を続けることが大切です。
生活習慣の見直し
喫煙は、傷口の治りや、インプラント周囲の炎症に影響することがあります。歯ぎしりや食いしばりがある場合は、夜間にマウスピースを使うなど、負担を減らす方法を相談できます。
気になる症状があったときの対応
次のような症状があるときは、できるだけ早めに歯科医院へ相談してください。
- 歯ぐきが腫れる、赤みがある、出血する
- 膿が出る、口臭が気になる
- 噛んだときに痛みや違和感がある
- 人工歯がぐらつく、外れる、欠ける
- インプラントが動いているように感じる
人工歯が外れた場合は、捨てずに保管して受診してください。自己判断で接着剤などを使うのは避けましょう。
早い段階で受診すると、状態の確認や、必要な処置を行いやすくなります。
よくある質問
Q1. 治療後に、トラブルがまったく起こらないことはありますか?
A. 長期にわたり、問題なく使い続けている方もいます。ただし、トラブルが起こるかどうかには個人差があり、起こらないと言い切ることはできません。定期的な検診で、早めに状態を確認することが大切です。
Q2. 治療を受けた歯科医院に通えなくなった場合は、どうすればよいですか?
A. 引っ越しなどで通院が難しくなった場合は、治療内容の記録を受け取り、新しい歯科医院に相談してください。治療を受けた歯科医院に、あらかじめ相談しておくことも大切です。
Q3. 歯周病があると、インプラントはできませんか?
A. 歯周病があっても、先に治療して炎症をコントロールできれば、インプラントを検討できる場合があります。検査の結果をふまえて判断します。
まとめ
インプラントのトラブルには、周囲の炎症、人工歯の不具合、噛み合わせの違和感などがあり、その要因は、お口の清掃状態、噛み合わせ、全身の状態、治療前のお口の環境など、複数にわたります。予防には、治療前の検査と計画、日々のセルフケア、定期的なメンテナンス、生活習慣の見直しが大切です。気になる症状があるときは、早めに歯科医院へ相談してください。
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監修者情報
監修:古舘辰彦(かまくらサンライズ歯科 院長)
資格:国際アメリカインプラント学会(IDIA)認定医/インプラント専門医/インビザプラチナドクター/小児歯科相談医
経歴:北海道医療大学歯学部卒業
